禁煙週間とは5月31日の世界禁煙デーに始まる一週間です。禁煙によって健康を取り戻すために、期間中は全国でイベントや啓発が行われます。禁煙デーをきっかけに禁煙をしてみようという方に、禁煙週間を続けるコツなどについて解説します。
禁煙週間とは?

世界禁煙デーから始まる一週間を、厚生労働省が禁煙週間として定めました。世界禁煙デーは5月31日なので、禁煙週間は5月31日から6月6日になります。
たばこには、70種類以上の発がん物質と5,000種類以上の化学物質が含まれ、生活習慣病を引き起こし、多くのがんの原因になります。 2019年時点で喫煙が原因で死亡したと推定された人数は、年間約19万人とされています。日本人が命を落とす2大リスクが喫煙と高血圧なのです。また喫煙は、認知症のリスクを2~3倍も高める、とのデータも報告されています。さらに、喫煙がアルコールや違法な薬物の乱用の入口になりやすいことがわかっています。他にも、周囲の人へ影響を及ぼすとのことで問題になっているのが、たばこを吸っていないのに、たばこの煙を吸わされてしまう受動喫煙です。望まない受動喫煙によって、健康に大きな影響を与えることが明らかになっています。
このようなたばこの健康への影響を知り、望まない受動喫煙を減らすために、禁煙週間は制定されました。禁煙週間では、たばこや健康に関する正しい知識の普及、公共の場・職場での受動喫煙防止対策が行われています。具体的には、厚生労働省ホームページ等での世界禁煙デーと禁煙週間の情報の提供、ポスター作成・配布・掲示、世界禁煙デーを記念したイベントの開催、公共の場・職場の受動喫煙対策の実施についての協力要請などです。
都道府県や市町村などの地方自治体は、より地域住民に身近な事業を展開しています。テレビ・ラジオ・広報誌などの広報活動、20歳未満の住民への啓発に効果的と思われる場所を選んで、ポスターの掲示、児童・生徒を対象の講習会の実施、保健所・市町村保健センターでの禁煙相談・禁煙指導の実施、医療保険者の保健事業実施の担当者や職場の安全衛生担当者等の協力を得て健康診断会場での禁煙相談や、禁煙指導の実施などです。
世界禁煙デーとは
5月31日の世界禁煙デーはWHO(世界保健機関)により定められました。喫煙は様々な生活習慣病につながり、周りにいる人の健康にも大きな影響を及ぼしてしまうため、喫煙しない社会が一般的になることを目指そうと「世界禁煙デー」を定めました。
当然のことながら、たばこや健康について考える日とされている世界禁煙デーの日だけ、意識していても効果はないでしょう。特に重要なのは、普段から望まない受動喫煙を防止すること、つまり喫煙者と非喫煙者が共存していくことのできる分煙の環境を整えることです。 肺がん、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、乳幼児突然死症候群が、受動喫煙によってリスクが高まる病気として確実視されています。法律で定められた公共の施設はもちろん、家の中や車内でも分煙をすすめていく必要があります。また受動喫煙を減らすためには、たばこを吸っている人が禁煙することが根本的な解決方法になります。
自分で作れる禁煙週間

これだけ喫煙による健康への悪影響や受動喫煙による健康被害への情報を目にすれば、禁煙週間をきっかけに、禁煙をしてみようという人もいるのではないでしょうか。前々から禁煙を考えていた人にとって、背中を押されたケースもあるかもしれません。
禁煙を始めてみようか、という人が禁煙の成功率を高めるためには、実は、準備期間が非常に重要です。といってもそんなに難しいことではなく、準備するポイントは、「禁煙する理由をはっきりと書き出す」「たばこの依存度をチェックする」「周囲の人に禁煙することを伝える」「禁煙開始日を決める」の4点です。
禁煙する理由をはっきりと書き出す
自分の健康のため、家族のためなど、禁煙する理由をはっきりと書き出すことをおすすめします。書き出した理由を見返すことで、再喫煙防止にもなるからです。
たばこの依存度をチェックする
たばこの依存度をチェックする方法は「朝、起きてから1本目が5分以内かどうか」「1日の喫煙本数が20本以上かどうか」の2つの質問が簡易的な見極めになります。より詳しい依存度はTDSニコチン依存度テストで判定し、5点以上が「ニコチン依存症」と診断されます。厚生労働省の健康情報サイトでも、他のインターネットサイトでも実際のテストを閲覧できます。依存度が高い人は、離脱症状対策に禁煙補助薬の準備をおすすめします。ちなみに、離脱症状とはニコチンが抜けていくときに現れる不快な症状です。
周囲の人に禁煙することを伝える
周囲の人に禁煙することを伝えるのは、決意を言葉にして、自分の禁煙の意識を高めることと、周囲の理解を得ることで協力してもらうためです。周囲のサポートが得られれば、禁煙の成功率も上がるかもしれません。
禁煙開始日を決める
禁煙開始日は仕事や予定に余裕があり、ストレスの少ない休暇中などがよいでしょう。飲み会が多いシーズンなどは、喫煙している人につられて、たばこに手が伸びやすくなってしまいます。記念日や誕生日など自分にとっての特別な日に設定する人もいます。記念日に開始することで、成功につながったという人もいるくらい開始日は重要です。また、開始1ヶ月は禁煙以外の我慢をしないようにして、たばこを買わないお金をささやかな贅沢に使うなどするとよいでしょう。
また、自分の喫煙行動を把握することも成功率を高めます。吸いたくなる状況を把握しておくと、吸わないように対策を立てることができるからです。吸った時間、吸った時の状況や気分、吸いたいと感じた程度の3点についてチェックすると、自分がどのような状況下でたばこを吸っているのかがわかります。状況を把握して避けるだけで、たばこの本数が減ったという人もいます。
禁煙週間を続けるコツ

禁煙週間を続けるコツは、「離脱症状の乗り越え方」「吸いたい気持ちのコントロール法」「高すぎず低すぎない目標を積み重ねる」の3点です。また、孤独に耐え忍ぶような方法でなく、禁煙外来、禁煙補助薬、禁煙治療用アプリ・電子タバコなどを上手に利用することが成功への近道になります。
離脱症状の乗り越え方
離脱症状は、ピークが開始後2、3日目くらいで、禁煙を始めて一週間程度で治まることが多いといわれています。気分が落ち着かない、口さみしい、頭痛がするといった場合は深呼吸や水やお茶を飲む、歯を磨く、糖分の少ないガムや禁煙飴などを食べる方法が効果的です。手持ち無沙汰で困る人は整理整頓をしたり、好きな音楽を聴いたりしてタバコから気をそらす行動をしましょう。
ニコチン依存度の高い人に特に効果があるのが禁煙補助薬です。 ニコチンガムはガムをかむことで口腔粘膜から、ニコチンパッチは皮膚の接触面からニコチンを体内に吸収させ、離脱症状を和らげます。禁煙外来で禁煙補助薬を使用した場合の治療成績は、12週間の禁煙治療を5回すべて受けた人は約8割が治療終了時点で4週間以上の禁煙に成功、さらに約5割が治療終了後9ヵ月間の継続禁煙に成功しています。
吸いたい気持ちのコントロール法
離脱症状から解放されても、たばこを吸いたいという気持ちは続きます。環境改善・行動パターン変更・代償行動の3つが重要です。環境改善とは、たばこを吸う環境をつくらないということです。具体的には周囲の人に禁煙中だと宣言し、喫煙者に近づかない、灰皿などの喫煙具を処分する、吸いたくなる場所に行くのを避けるなどです。
行動パターン変更のコツは、吸ってしまう時の行動パターンにならないようにすることです。起床後すぐに吸いたくなる人は、起きたらすぐに洗面所行って洗顔するという風に、今までの行動パターンを変えてしまうのがよいでしょう。食後に吸いたくなる人は、食べ終わったらすぐ席を立つという行動パターンに変更します。代償行動は、離脱症状を乗り越える方法と一緒です。吸いたい気持ちが沸き起こった時に、何か別のことをして、気をそらすようにしましょう。
高すぎず低すぎない目標を積み重ねる
「一生たばこを吸わない」という高すぎる目標よりも、「今日一日吸わない」という低めの目標を設定し、「昨日頑張れたのだから、今日も吸わないでおこう」と一日ずつ積み重ねていきましょう。いつの間にか1週間、1か月と達成期間が長くなり、「呼吸がラクになった」「からだが軽く感じる」など効果を感じ始めると禁煙が続けやすくなるはずです。
禁煙治療用アプリ
おすすめのアプリは、保険診療として禁煙外来で処方される「禁煙治療用アプリ及びCO チェッカー」です。これは、スマートフォンにインストールするアプリと、吐く息の中の一酸化炭素濃度を測ってモニタリングできる器械を組み合わせた製品です。
アプリはニコチン依存症に関する知識やストレス対策の実践方法を、チャットや動画で学べるようになっています。禁煙中の行動や感じたことを日記としてスマートフォンに記録し、担当スタッフと共有することができます。また、たばこが吸いたくなった時にボタンを押すことで、最適な対処法を提案するなど再喫煙防止に効果的な機能を搭載しています。
電子タバコの使用

日本では、ニコチンを含まない電子タバコが一般的です。禁煙のサポートとして電子タバコを始めたことで、たばこが美味しくなくなり禁煙が成功したという人もいるようです。ただし、ニコチンが含まれていない電子タバコをいきなり吸っても満足することができず、すぐに前のような喫煙習慣に戻ってしまうという人もいるようです。
電子タバコの助けを借りて禁煙を成功させるには、「NONICO」や「DR.VAPE Model2」などの、自分の嗜好に合うフレーバーのついたリキッドを見つけることが大切です。とくにNONICOは、「吸いごたえ満足度 No.1」に選ばれた実績があるため、元喫煙者からも定評がありおすすめです。
また、電子たばこは製品によっては、健康に影響を及ぼす可能性のあるホルムアルデヒド、アセトアルデヒドといった発がん性物質などを発生するものがあると報告されています。科学的根拠や因果関係はまだ不十分ですが、本人にも周囲にも健康影響が生じうる可能性があります。品質や安全性を重視している信頼のおける販売店で、製品をよく確認して使用するようにしてください。
禁煙週間についてまとめ
世界禁煙デーや禁煙週間とは喫煙による健康への影響について知り、自分や自分の大切な周囲の人の健康について考える期間です。禁煙外来や禁煙補助薬、電子タバコなどの無理なく禁煙する方法について知り、禁煙について少しでも前向きな気持ちを持つ人が増えることが、喫煙しない社会が一般的になることへつながる一歩となるでしょう。

