禁煙を始めた後に眠気を感じるという人が多いようです。この現象は単なる偶然なのか、それとも禁煙と眠気との間に何らかの科学的な関係が存在するのでしょうか。今回の記事では、禁煙と眠気の関係について詳しく解説していきます。
禁煙すると眠くなるって本当?

禁煙すると眠くなるというのは本当なのでしょうか。結論からいうと、本当である可能性も十分に考えられます。これは、禁煙をすることによって、たとえばニコチンや血糖値など体への影響や、ストレスなど精神面の影響など、さまざまな変化が起こるためです。
それでは、さらに禁煙と眠気にはどのような関係があり、またそれらを軽減したり上手に禁煙したりするにはどのようにすればよいのでしょうか。ここからはそれらを詳しく見ていきましょう。
禁煙と眠気の関係
禁煙がすべての人に眠気をもたらすわけではありませんが、多くの人々が禁煙を始めた初期段階で一時的な眠気を感じているようです。これにはいくつかの理由が考えられます。まずは、ニコチンの刺激の欠如によって眠気が引き起こされているというものです。タバコにはニコチンという成分が含まれており、これが神経系に刺激を与えて覚醒作用をもたらします。禁煙をすると、このニコチンの刺激がなくなることから、体が以前のような覚醒状態を保つことが難しくなり、眠気を感じやすくなるのです。
また、ニコチンは、インスリンの放出を抑える効果があります。インスリンには血糖値の変動をおさえるはたらきがあるため、インスリンが抑制されている喫煙者は血糖値が比較的高めに保たれやすい状態です。ところが、禁煙をするとこの抑制作用がなくなり、一時的に血糖値が下がることが考えられます。この血糖値の低下が、眠気の一因となっているのです。
そのほかにも、ストレスとの関連も原因に挙げられます。禁煙はストレスを伴うことが多いです。これは、体がニコチンを欲する「欲求」が生じることで、精神的なストレスが高まってしまうことからきています。それにより、疲労を増加させてしまい、眠気として現れることがあるのです。
しかし、反対に睡眠の質が向上しているため眠気を感じやすいという事も考えられます。禁煙により体の酸素供給が向上し、睡眠の質が上がるため、短期的には眠気として現れているということです。これは体に良い影響を与えていることは間違いないため、長期的には禁煙によって日中の眠気が減少する可能性もあります。
禁煙後の眠気を軽減する方法

禁煙の際にはさまざまな体の変化がありますが、禁煙による眠気を軽減するためにはどのような方法をとれば良いのでしょうか。詳しく解説していきます。
まずは、水分を十分に摂取することです。水分を摂取することで、血流が良くなって脳への酸素供給がスムーズになります。とくに、冷たい水を摂取することで、頭をすっきりさせることもできるでしょう。同様に頭をすっきりさせる方法として、適度な運動も重要です。軽い運動は血行を良くし、体への酸素の取り込みを助けてくれます。とくに、ウォーキングやストレッチは低強度で続けやすく、日常生活に取り入れやすい方法です。
また、血糖値の変化が眠気に影響している可能性があることから、バランスの取れた食事をとることも心がけましょう。炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよく摂取し、間食をしても良い場合は、ナッツや果物を選ぶと良いでしょう。とくに、炭水化物のとりすぎは血糖値を急激に上げ下げしてしまうため、注意が必要です。
さらに、どうしても眠くなってしまった際には、短時間の昼寝やリラクゼーションを行うことも効果的です。20分から30分の短い昼寝は、脳をリフレッシュさせてくれます。ただし、長時間の昼寝をしてしまうと、逆に夜の睡眠の質を低下させる恐れがあります。昼寝をする際は、しっかりと時間を管理して、適切な時間におさえることも重要です。また、深呼吸や瞑想、マッサージなど、リラクゼーションを取り入れることで、心身をリセットすることもできるでしょう。禁煙に伴うストレスや緊張感を和らげ、眠気の原因を減少させる方法として取り入れてみてください。
禁煙による健康的な睡眠への効果
喫煙が睡眠に与える悪影響は、これまでの研究で多数報告されています。それでは、禁煙は具体的にどのような良い影響を与えてくれるのでしょうか。ここでは、とくに睡眠と関係する禁煙の効果について見ていきましょう。
まずは、深い睡眠が増加するということです。ニコチンを吸った際の刺激は、深い睡眠である「ノンレム睡眠」を減らし、浅い睡眠である「レム睡眠」を増加させるとされています。禁煙をすることにより、深い睡眠の時間が増えるため、疲れにくい体を作ることができるのです。また、このような浅い睡眠の増加によって、喫煙者は、夜間に目を覚ます頻度が高いことも知られています。これは、ニコチンの利尿作用やタバコによる喉の刺激などが原因です。禁煙をすることで、このような中途覚醒がなくなり、一晩を通して安定した睡眠を得ることができるようになります。
さらに、睡眠の際に大切な呼吸の安定にも禁煙が関係しています。タバコの煙は呼吸器系にダメージを与え、睡眠時無呼吸症候群の原因ともなり得えます。禁煙をすることで呼吸器系のダメージが少しずつ回復し、睡眠時の呼吸も安定する可能性が高いでしょう。また、体内のストレスホルモンのバランスが整ってリラックスしやすい状態になり、入眠しやすくなるだけでなく、夜中に目覚める頻度も減少します。
眠気に負けず禁煙を続けるコツ

それでは、眠気に負けずに禁煙を行うにはどのような対策が考えられるのでしょうか。ここでは主な方法について「電子タバコの利用」「カフェインの摂取」「健康的な生活」の3点を解説します。
まず1つ目は、電子タバコを使う方法です。電子タバコは、禁煙をサポートするツールの一つです。たとえば、電子タバコの「NONICO」はニコチンやタールが0で、タバコ臭が全くない商品でありながら、とても吸いごたえがあります。これは、リキッドを水蒸気化させるコイルに細かいセラミック素材を使い、リキッドがむらなく完全燃焼する設計になっているためです。このような本物に近い吸いごたえのある電子タバコを利用することで、禁煙によって起こる口寂しさやタバコを吸いたくなる欲求を和らげることが期待できます。それでいながらも、ニコチンやタールといった睡眠に悪影響を及ぼす成分の摂取を回避することができるのです。
また、ニコチンの減少だけでなく、他の成分やアロマも良い影響を及ぼします。たとえば、メントール系のリキッドは爽快感を得られるため、一時的に眠気を和らげることできるでしょう。また、寝る前に落ち着くアロマやフレーバーを吸うことでにリラックスした気分になり、夜間の睡眠を深くして昼間の眠気をおさえることも考えられます。
そのほかに、適切なカフェイン摂取も眠気をおさえるのに大切です。カフェインは適量を摂取することで、一時的に眠気を和らげる効果があります。ただし、過度な摂取は逆に質の良い睡眠を妨げる原因となりえるため、バランスが大切です。厚生労働省によると、カフェインの1日の摂取量は最大400mg(コーヒーをマグカップ(237 ml入り)で約3杯)までが目安とされています。どうしても眠いときにはこの目安をもとに、適量のカフェインを摂取するようにしましょう。
しかし、電子タバコやカフェインのようなモノに頼るだけでなく、生活習慣をきちんと見直すことも重要です。禁煙の過程で感じる眠気の一因として、夜間の睡眠が不十分であることも挙げられます。禁煙を始めた際には、より質の高い睡眠を意識的に取るよう意識することが大切なのです。定期的な就寝時間で睡眠をとり、寝る前にはスマートフォンやテレビからのブルーライトを避け、リラックスした状態で睡眠に入れるよう読書や入浴を行うなど、良質な睡眠をサポートする習慣を日常に取り入れましょう。
禁煙すると眠くなることについてまとめ
禁煙による体への影響は人によって異なり、表れる眠気の原因や度合いも人それぞれです。この記事を参考に、「電子タバコなどのツールを活用する」「規則正しい生活を心がける」など自分に合った方法を見つけ、根気よく禁煙を続けてみてください。

